子供の薬:粉薬とシロップ、どっちにする?

2017年01月11日

小児科医 Dr. しろくま子の“みんなも知っていたらいいのにと思うこと”(水曜更新) 第48回

 

子どもの薬には、服用しやすい工夫がされています。甘い味がついていたり、座薬になっていたり。処方を受けるのに、「粉薬かシロップか座薬、どれにしますか?」と聞かれることもあるかと思います。子どもの好き嫌いがはっきりしていれば、従えばいいので簡単です。でもそうでない場合、以下を参考にしてみてください。

 

そもそも粉薬とかシロップって何?

 
まずは大前提から。粉薬とは顆粒、細粒や散剤、ドライシロップを指します。粉が必ずしも苦いというわけではありません。小児用のドライシロップには果物などをまねた味がつけられています(そういうわざとらしい味がイヤ、という子もいますが)。これを水に溶いて飲ませるわけです。

 

シロップは最初から液体になっている薬のこと。薬局では小さなボトルに入れられて渡されます。薬が原液のままの場合と、水で薄められている場合があります。

 

ずばりシロップよりは粉薬がおススメ


ベンジャミン・フランクリンの精神的代数*を使う気で、思いつく要素を並べて表のようにしてみましょう(数字は後述の説明の番号に対応)。

 

 

*ベンジャミン・フランクリンの精神的代数
ベンジャミン・フランクリンが考えた意思決定の方法。2つを比べるときは、それぞれの良い点、悪い点を書き出して比べてみる。プラスマイナスゼロになる項目同士を消していき、良い点が多く残ったほうを選ぶ。

 

ほら、粉のほうがよさそうでしょ?!

さて、上の点について一つずつ説明していきます。

 

粉薬
 

 

一回ぶんずつ分包されているため、


(1)量を測る必要はなく、一袋ぶんを飲ませればいい。
これは特に解熱剤など、多く与えると危険なものも、間違いにくくていい。

 

(2)清潔。キャップを何度も開け閉めするシロップと違って使い切り。

 

(3)キレイなままとっておける。
前に処方された薬をとっておいて、風邪ひいたときに飲ませるのって、教科書的には反則。でも実際はよく行われている。咳や鼻水の薬くらいなら、まず大きな問題はない。どれくらい日持ちしそうかは、処方されたときに薬剤師さんに聞いてみてください。冷蔵庫に入れると吸湿しちゃうことがあります。薬の包みごと振って、固まってたらアウトかな。海苔の缶に乾燥剤と一緒に入れておくとかのほうがよさそう。

 

(4)赤ちゃんに粉薬を与えるときは、少量のお水に溶きます。母乳栄養児でしたら、ペーストのようにして頬の内側につけ、それからおっぱいを飲ませます。もちろん指を子どもの口に入れるので、あらかじめキレイに手を洗ってください。この作業が面倒と感じられることはあるかもしれません。

 

その他の利点として、旅行のとき飛行機に持ち込みやすい(液体は温度管理や説明が面倒)。保育園にあずけるときも、必要回数分だけ渡すことができます。


それから、何かに混ぜて与える、という技を使いやすいかもしれません。でも、ミルクや主食などには入れないでください。「なんだか変な味だなあ」と子どもが感じて、その食べ物を嫌いになってしまっては厄介です。

 

シロップ

 


(5)飲ませやすい(べーって出しちゃう子も、もちろんいる)

 

(6)基本的に冷所保存
シロップは冷蔵庫にしまってください。なんか「冷暗所っていうから玄関に置いておいた」という保護者の話を聞いたことがありますが…。飲むものですし、冷蔵庫のほうがいいと思います。
そして開けたら早めの使用を。防腐剤は入ってるにしても、やっぱりとっておきにくい。一か月前のシロップ薬を飲ませたとかで、腹をこわしたって来た子は見たことないけど、おススメはできません。調子の悪いときに古い飲みかけの薬を与えるのはこわいような気がしませんか?

 

(7)抗生物質に関しては、シロップの薬がありません。すべて粉。その他「粉しかない薬」はたくさんあります。例えば整腸剤などもそうです。逆にシロップしかないとして真っ先に思い浮かべるのは、クループ症候群(咽頭が炎症のために腫れて息が吸いにくくなる・声がかれる・犬の吠え声のような乾いた咳が出るなどがみられる)のときに出すステロイド剤と、貧血の鉄剤です。でも日々の処方においては少数派。

 

と、見ていくと、どちらでもいいなら粉薬にしては?という気がします。

 

要注意の粉薬

どんな薬も嫌がる子はともかく、そうでなければ多くの粉薬はそんなに飲みづらくないようで、シロップから粉に変更して飲めなかったという例は少ない印象です。ただし、マイコプラズマなどで処方されるマクロライド系抗生物質は、素直な子でも難渋します。そのため小さい錠剤もあるほどです。インフルエンザの飲み薬も不人気。これらが処方されたときには、その後に薬嫌いにならないよう、あらかじめ飲ませ方の工夫を薬局で聞いておくとよいと思います。

 

座薬と飲み薬の解熱剤、どっちにする? 

 

解熱剤のときは座薬を希望されることが多くあります。特にオムツ年代では楽でしょう。何しろ機嫌が悪くても、おしりから入れてしまえばいいのですから。自宅に常備しやすいとも思います。「どちらがよく効くの?」と聞かれることも多いのですが、同じ薬が形を変えて処方されるので大差はありません。


もし差が出るとしたら、量によるものです。飲み薬はかなり体重に忠実に処方できます。でも座薬は1個とか半分とか、三分の二とか、使い方が大雑把になります。つまり量が多めか少なめになるということです。その点がどうであるか、処方する医師に確認してください。それから座薬は入れたとたん赤ちゃんがウンチをして、出てきてしまった…などということが起こります。特に下痢をしているときは要注意です。

 

さて、アメリカのスーパーマーケットで、「ペーパー、オア、プラスティック?」と聞かれたら、それは袋のことで、商品を紙袋に入れるか、ビニール袋に入れるか。一瞬で答えないと、レジが停滞しちゃう。日本の小児科で「粉とシロップどっちがいいですか?」といえば、それは薬のこと。これで長らく悩むと、ときどき外来が停滞しちゃう。というわけで、今回はこんな話題にしました。

 

 

 

プロフィール

Dr.しろくま子

 

20世紀の末に某国公立大学医学部卒業。二児の母。両親は非医師。フルタイム勤務に復活する際、保育所探しに難渋して転居。通勤・夜間労働と子育てに四苦八苦で家が荒れる。三十代前半に配偶者事情で北米へ。帰国後は小児科一般診療や専門外来を担当。好きなものはテディベア、通勤電車での読書。ドイツ語が少し読めるようになってきました!

 

編集:プサラ研究所

 

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